魂の骨格 第1回 造形師 竹谷隆之 (前編)

第1回 造形師 竹谷隆之 (前編)


魂の骨格では、コレクターズトイを支えるプロフェッショナルを紹介します。
企画、デザイン、設計、試作、金型、パッケージデザイン、写真、広告、いろんな人の力によっておもちゃが生まれます。
彼らの仕事への姿勢やこだわり、苦労してきた点、思い出の商品などに対するインタビューを通して、これまでほとんど知られることのなかった、プロフェッショナルの魂を楽しんでください。



S.I.C. VOL.1 キカイダー

記念すべき第1回は、今や日本を代表する造形師、竹谷隆之氏のインタビュー。 竹谷氏といえばS.I.C.の原型を製作。衝撃的なデビューを飾った「S.I.C. VOL.1 キカイダー」の発売から2008年で10年を迎えます。 Takayuki Takeyaの名前は海外でも人気で、海外の有名おもちゃコレクターが、竹谷氏の作品を買いに来たという話もあります。 今年はS.I.C.の10周年を記念して、海外でのS.I.C.展も計画されています。 そんな竹谷さんに会いに、都内某所の工房へ伺いました。 竹谷さんの印象は、噂の通り温和でマイペース。時折笑いも交え、和やかな雰囲気の中で、楽しく取インタビューすることができました。 人柄や言葉を通して、竹谷さんの「魂」に触れられればと思います。


子供の頃


竹谷氏の工房は、下町情緒あふれる路地の奥に存在


工房の中は昭和にタイムスリップしたような独特な雰囲気

 ちっちゃい頃はウルトラマンとかゴジラで小学生の頃は仮面ライダーが好きでした。
でもこれらのおもちゃではあまり遊ばなかったです。北海道の田舎なもんで、おもちゃ自体が充実してなかった。文房具店の片隅におもちゃコーナーみたいのがあって・・・そんな感じ。友達と遊ぶおもちゃとかあまりなかったなぁ。

マンガは読んでました。竹谷家の本家が隣にあって、そこにいるいとこが週刊誌のマンガを買っていたので、それをよく読んでいました。 当時は石ノ森先生が好きでした。やっぱり仮面ライダーですね。藤子不二雄先生や手塚治虫先生の作品は少年誌の読み切りの短編なんかが中心でした。

絵を描いたり粘土で何かを造ったりも好きでした。北海道なんで冬は雪で何か作ってたですね。周りは雪だらけでしたから。 キャラクターで言うと、粘土で小さなロボコンを造りました。登場するキャラクターを全種類(笑)。
テレビとマンガ両方を見てたんですけど、それぞれイメージが違うじゃないですか。マンガでもその時のタッチとか。僕は両方の良い所を合わせて造ってましたね。そこだけは今と同じですね(笑)。

造形家になったのは、マンガとかテレビなどの影響ではないと思うんですけど・・・うーん、やっぱり大きいのかも知れませんね。マンガは好きでそこそこ知ってますけど。でも特別詳しくもないんです。


興味のあること

 昔の物に興味あります。少数民族が使う道具とか。少なからず作品にも影響してると思います。
あと昔撮った写真と現代の写真を見比べるのが大好きですね。
自分は撮ってこなかったんですけど。子供の頃にカメラを持っていれば撮っておけば良かったなぁと本当に思いますよ。でもカメラ持ってたとしても、当時はそんな視点では撮らなかったでしょうけど。
同じように昔と今の地図を見比べるのも好きです。たまに当時の地図を手に入れて楽しんでます。すごい地味ですよね(笑)。
古い物というより経年変化が好きなんですよね。それを楽しんでます。

趣味は写真です。主に資料用が多いですけど。やっぱり朽ちてるのが好きですね(笑)。


好きな映像作品や音楽

 映像関係については・・・SF全般好きですね。ブレードランナーとか・・・あたり前ですけど。 田舎だったんでほとんど映画館に行けなかったですね。高校時代とかはお金もなかったし。 今もあんまり映画見ないなぁ。仮面ライダー THE FIRSTとNEXTのビデオないですか?(笑) そうそう、最近は「24」が好きです、あーゆうのついつい観ちゃうんです。止められなくて(笑)。でも今は新作が出ないから。 Dr.HOUSEとかも見ちゃってますけど、あんなにイヤミな事言って生きていける自信が羨ましいです(笑)。 音楽は工房ではたまにかけます。ただあんまり新しいのは聞いてないですね。一番聞いてるは"ADIEMUS"の「世紀を越えて」って曲かな。「ターケヤーまだ~、ま~だかねぇ~まだぁ~」って聞こえるので、作品の締め切りが近くなったらこれです(笑)。


影響された作品など

 たくさんあると思うんですけど・・・あ、山口晃さんの作品は好きですね(と言って画集を持ってきてくれる)。
影響されてるというよりは感動しすぎて「死ねばいいのに!(最上級の誉め言葉)」という感じです。もちろん冗談ですよ(笑)。
それくらい素晴らしい作品ばかりです。もう本当にすごい。


物が朽ちていくとか壊れたりとかが好きと聞くと、作品にも暗いイメージを連想してしまうのですが・・・


工房内にある製作中の「漁師の角度」の作品

 どうしても作品では明るくなれないんです(笑)。
うちの実家は漁師なんですけど、冬は山で猟師してました。タヌキやキツネとか捕ってね。それで皮剥いだりして。よく見てました。
でもそれは普通だったと思ってましたね。

すごく覚えているのは5才の時かな。網にゴマフアザラシがかかってね、僕は少し離れた所から友達と見てて「かわいいな、ひょっとしたら飼えるのかなぁ?」
なんて思ってたら、父親がスタスタと歩いてきて銃でドーンと。子供ながらにショックでしたね。
まぁ、そういう事の積み重ねが、何となく今いる方向にむかせたのかなと思います。



次回へ続く



竹谷 隆之

竹谷 隆之 (たけや たかゆき)
1963年生まれ/北海道出身

・雑誌・ゲーム・映像媒体での造形製作及びデザインを行う
・ S.I.C.の原型製作
・ オリジナル作品集
 「漁師の角度(1999年)」(株式会社ホビージャパン)を発行

 


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    S.I.C. VOL.1 キカイダー

    3,520円(税10%込)
    3,200円(税抜)

    一般店頭発売 

    1998年12月01日 発売

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  • S.I.C.シリーズ

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