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魂の骨格 S.I.C. 『真・仮面ライダー 序章』商品化記念インタビュー 造形師 竹谷隆之&藤岡ユキオ

造形師 竹谷隆之&藤岡ユキオ S.I.C. 昭和仮面ライダーコンプリート記念 インタビュー

「S.I.C. 仮面ライダーシン」のリリースで、ついに「仮面ライダー1号」~「仮面ライダーJ」までの昭和主役ライダーのラインナップが揃うこととなった「S.I.C.」シリーズ。
そこで、同シリーズの屋台骨を約15年にわたって支え続けてきた日本を代表する造形師・竹谷隆之氏と、その右腕として超絶的な造形物を生み出し続けるテクニシャン・藤岡ユキオ氏をお迎えすることに。
竹谷氏と『真・仮面ライダー 序章』との関わりや、「S.I.C. 仮面ライダーシン」と「S.I.C. 改造兵士レベル3」の制作秘話、そして「S.I.C.」シリーズの今後の展望まで、存分に語ってもらった。

■『真・仮面ライダー 序章』との出会いと、S.I.C. 昭和仮面ライダーについて

――まずは、『真・仮面ライダー 序章』(以下『真』)との関わりからお聞かせ下さい。

竹谷隆之(たけや たかゆき)   竹谷:あの頃は雨宮(慶太)さんに誘われて毎年色んな映像作品のお手伝いをしていたのですが、『真』では雨宮さんが仮面ライダーシンの変身シーンコーディネーターとして現場に入っていらして。それで僕も呼ばれて、イメージシーンに出て来る大きなバッタの顔を作ったりしました。メインの造形物はレインボー造形企画さんが担当されていて、シンのスーツに関しては僕は現場でジェルを塗るのをお手伝いしたかなぁ、というくらいですね(笑)。

――『仮面ライダー』に関わったのは、この作品が初めて?

竹谷:『仮面ライダーZO』の前だから、これが初めてです。
ただ、当時は目の前の与えられた仕事をこなすことで精一杯で、感慨みたいなものを感じる余裕は全くなかった。現場は数日しか行ってないですし、アタフタしてあっという間でした。でもその後の『ZO』の時は、撮影所のプレハブや大部屋に寝泊まりして「朝早くからロケで眠いなぁ」とか「夜はとにかく寒かったなあ」という記憶があります(笑)。

――ちなみに藤岡さんは、作品制作には関わられていないと思いますが、原型の造形に当たって映像をご覧になったりはするのでしょうか?

藤岡:スチールは当然参考にしていますが……映像作品は観ずに作っています。観るとイメージが固まってしまって自分の中で自由に想像できなくなるので、特に昔の作品の場合映像は観ないことが多いんです。それよりも最近のハリウッド映画を観たりして、「今だと、こんな感じになるかな?」というイメージを膨らませることの方が重要ですね。

  藤岡ユキオ (ふじおか ゆきお)

竹谷:そういう意味では「シン」の場合、スチールを参考にするのが一番良いと思う。想像が膨らむし、一番良い状態で挑める気がしますね。

――これで昭和の主役仮面ライダーのS.I.C.が揃いましたが、少し肩の荷が下りた感じでしょうか?

竹谷:僕らだけでなく安藤(賢司)さんのチームでもやられていますし、多分この先も色々と関わらせて頂くのだろうなということもあって、実はそういう感慨はないのですが(笑)。でもユーザーの皆さんに「揃った」という喜びを感じて頂けるのであれば、有り難いことだと思いますね。
シンに関しては割とシリーズ初期の頃から商品化をアピールしていたのですが、結局最後になってしまって。

■仮面ライダーシン&改造兵士レベル3の制作秘話

――シンの元々のデザインラインが「S.I.C.」に近いことも、商品化が最後になった理由の一つかも知れません。シンをS.I.C.化するに当たって、アレンジについてはどのようにお考えでしたか?

仮面ライダーシン&改造兵士レベル3の制作秘話   竹谷:関節を入れやすいように整理はしましたが、今回の商品化にあたってもデザインとしては特に弄る部分はなく、頭身やバランスを変えた程度ですね。改造兵士レベル3に関しては腕を増やしましたが、これも玩具のプレイバリューとして「こうした方がいいな」と思って描いただけですしね。

――改造兵士レベル3の腕が増えるという解釈は、S.I.C.ファンには嬉しいアレンジだと思います。

竹谷:頭部をシンと付け替えることもできますしね。個人的には、実はそれが狙いだったりします(笑)。

――独自解釈という点では、昨年発売された『S.I.C. HERO SAGA Vol.4』(ホビージャパン・刊)の表紙を飾った、ライダースーツを着たシンの姿は非常に鮮烈でした。

『S.I.C. HERO SAGA Vol.4』(ホビージャパン・刊)の表紙

竹谷:他の仕事が間に入ってスケジュールが伸びたりして、去年の12月の段階ではまだシンの上半身までしかできていなかった。それで『HERO SAGA』には、上半身の複製を使って服を着せた状態のものを載せることにしたんです。

当時の裏設定などもイメージしながらジオラマ込みのデザイン画を描いて、「もしも年老いた立花藤兵衛がシンと出会っていたら、こんなマスクを用意してくれるだろう」と、設定もあれこれと考えたんです。石森プロの早瀬(マサト)さんが「シンの息子」という大胆な設定で物語を書いて下さったので、結局僕の考えた設定はボツになりましたけど(笑)。

――シンと改造兵士レベル3は、デザイン的に共用部分も多そうですがどのくらい違うのでしょうか?

S.I.C. 仮面ライダーシン S.I.C. 改造兵士レベル3

竹谷:実は改造兵士レベル3の前腕と脛は、シンよりも長くしています。微妙に長いという程度の違いなんですけど、そのせいで共用パーツは意外に少ないという(笑)。

S.I.C. 改造兵士レベル3   S.I.C. 改造兵士レベル3

――改造兵士レベル3の上下の腕は、干渉しそうですがちゃんと可動するんですね。

藤岡:そこは、作りながら調整した感じですね。

竹谷:描くのは簡単ですけどね(笑)。

藤岡:腕を付けて後ろ側から見たら、何か唐突に生えているように見えたんです。それで違和感を軽減するために、背中に羽根っぽいパーツを付けています。
また改造兵士レベル3は首の後ろ側のパーツにもボリュームがあるので、羽根パーツにはそのラインを採り込むという意味もありました。

竹谷:首の後ろにボリュームを加えて猫背っぽくしたデザインは、石ノ森(章太郎)先生もラフ案などでよく描かれているんです。しかし頭部が動かせなくなってしまうので、映像作品ではオミットされてしまうことも多い。でも玩具の場合、原作者の意向はできる限り反映させたいので、可能であれば採り入れたいと思っています。

――カラーリングは、映像のイメージよりやや明るい印象ですが?

藤岡:実物のスーツは複雑な工程で塗ってありますが、それを単純化したら明るい印象になったというだけで、基本的には原典に忠実に再現しています。

竹谷:映像だとナイトシーンが多いので暗く見えますが、現場で見たスーツも明度的にはこれくらいで、彩度を少しだけ強くした感じですね。

藤岡:シンのスーツはかなり細かくシャドーが吹いてあるので、全体的に見ると黒っぽく見えるんですよね。それと、先に発表された「S.H.Figuarts」のシンがちょっと黒っぽい印象だったので、違う感じのものにしたいというのもありました。

――その印象のせいか、ヒーロー然として見えますね。

藤岡:基本ラインはクリーチャーですが、だからこそヒーローっぽく見えるように意識しました。

竹谷:その辺りの印象は、立たせ方やポージングでもかなり変わりますしね。

■今後の「S.I.C.」と、ファンへのメッセージ

S.I.C.

――「S.I.C.」シリーズの今後の展望についてお聞かせ下さい。

竹谷:個人的には過去のアイテムを見ると直したくなるものもあるので、機会があればリニューアルもやってみたいですし、怪人のシリーズも確立できたらいいなと、何となく勝手に妄想しているんですけどね。
あとは……例えば匠魂サイズのロボット刑事と、同スケールのマザーの頭部は欲しい。額にロボット刑事を収納させたいのでマザーの頭部は人間大くらいになりそうですけど(笑)、アレンジしたマザーは描いてみたいですね。

藤岡:最近の『アイアンマン』なんかを観ていると、フル可動仕様のロボット刑事は欲しくなりますね(笑)。

竹谷:それとイナズマンも大好きなので、フル可動で欲しい。原作漫画とテレビ版でデザインが違うので、両方の良いトコ取りな奴を作ってみたいですね。
ライダーだと仮面ライダーXやライダーマンが好きなんですけど、Xは割と最近作ったので、ライダーマンのリニューアルですかね。今作り直すとしたら、交換用の腕をたくさん用意するのも面白そうですね。

――それでは最後に、「S.I.C.」ファンへのメッセージをお願いします。

竹谷:飾って楽しんでもらえるのも嬉しいのですが、素材として扱って頂ければなお嬉しいですね。自分の好みに合わせて改造したり、色を加えたり……。

藤岡:汚しを入れたりして、もっと楽しんで欲しいですね。

竹谷:パーツを組み合わせてみたり、羽根を付けてみたり、シンにスーツを着せてみるも良し(笑)。そういう自分のアイディアを何かプラスして遊んで頂けたら、作っている側としては冥利に尽きると思います。

――特にシンは序章しか描かれていないキャラクターなので、そういう想像の余地があります。

藤岡:僕も竹谷さんとほとんど同じなんですけど……ユーザーの皆さんの「色を塗り直しました」みたいな画像をネットで見ると「ああ、面白いな」と思いますし、そういうことが次の作品の励みになったりもしますからね。

竹谷:今回シンにはオプションとして豪島変身体(改造兵士レベル2)のヘッドパーツが付属しますが、きっと誰かが豪島変身体の全身を作ってネットにアップしてくれるだろうと期待しています(笑)。そんな風に手を加えて弄り倒して、楽しんで欲しいですね。


竹谷隆之(たけや たかゆき) 竹谷隆之(たけや たかゆき)

12月10日生まれ / 北海道出身
専門学校卒業後、月刊モデルアートの編集を経てフリーの造形師に。専門学校の先輩である雨宮慶太の映画『未来忍者』に造形美術として参加し、以後『牙狼<GARO>』を始めとする雨宮作品のスタッフとして活躍。造形師としては「S.I.C.」を始めとする人気シリーズを多数手掛ける他、オリジナル作品集『漁師の角度』も発表。高次元の造形力と、独自のデザイン力で知られる。

藤岡ユキオ (ふじおか ゆきお) 藤岡ユキオ (ふじおか ゆきお)

6月6日生まれ / 愛知県名古屋市出身
代々木アニメーション学院 SFX特撮科在学中に、講師であったMAX渡辺氏に竹谷隆之氏を紹介され、竹谷氏の造形を手伝うようになる。『ゼイラム2』や『マガラガ』などのフィギュアの造形を手掛けたのち、現在は「S.I.C.」シリーズや『牙狼<GARO>』シリーズのフィギュアの造形を手掛けている。

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